歴史的建造物・文化財への洗浄

博物館明治村 天童眼鏡橋

天童眼鏡橋は山形県天童市に明治20年石造り二連アーチ橋として建設されました。 築造から127年が経過し、苔や藻などが付着し、石の表面などが剝れるなどの劣化が進んでいるため、 新しい技術を取り入れた修繕工事が実施されました。
石材は天童市付近に産する山寺石(やまでらいし)が使われています。 山寺石は現在採掘されておらず、石の取替えは難しい石材です。 石を傷めずに長持ちさせるのが課題でそのノウハウを持つ全火協にこの工事が依頼され、 洗浄に加圧超高温水洗浄、保存のための含浸型防水剤、透湿型撥水剤コーティングが採用されました。 洗浄してみると石は薄桃色で、日焼けしている箇所ほど赤みが強い山寺石本来の姿を現しました。
明治村 天童眼鏡橋修繕工事詳しくはコチラ

施工前 施工後

 

トヨタ産業技術記念館 煙突基礎煉瓦遺構

蒸気機関の煙突基礎遺構
この基礎遺構は1914(大正3)年に作られました。自動織機発明に生涯をかけたトヨタグループ創始者・豊田佐吉の強い意志を示す遺構として動力の庭にて2015年に発掘、展示されています。
展示保存するにあたり、煉瓦遺構を傷めることなく、かつ強力な洗浄力を発揮する加圧超高温水洗浄、また水の浸入により煉瓦の劣化を進行させないため、含浸型防水剤・浸透型撥水剤でコーティング保護する工法が採用されました。

施工前 施工後

 

トヨタ産業技術記念館 煉瓦壁面保存修繕

トヨタ産業技術記念館は、建築史的に評価された赤レンガの建物を歴史的遺産として保存しながら、展示施設として活用されています。 一般的に煉瓦の寿命は100年とも云われています。
トヨタ産業技術記念館の煉瓦壁も約100年の歴史があり、壁面には亀裂や破損などの劣化が随所に見られました。 当時の佇まいを残しつつ劣化部を修繕し、そして次の100年に耐えうる様、 2017年度東側壁面から始まり、正面~西側~南玄関~中庭~北側壁面へと7年計画で進めております。
トヨタ産業技術記念館の象徴である赤レンガの建物を歴史的遺産として、未来に残す工事です。
第2期(正面・西面)工事 詳しくはコチラ
第4期(中庭ノコギリ屋根)工事「100年前の面影を次の100年先へ」動画はコチラ(外部リンク)


施工前 施工後

 

博物館明治村 長崎居留地二十五番館保存修理工事のうち諫早石基礎部石工事

長崎居留地二十五番館は、長崎に3ヶ所あった居留地-東山手・南山手・大浦-のうち南山手二十五番の建物で明治22年(1889)に建設されました。 本館完成から約20年後の明治43年(1910)、本館とは別の棟梁によって右奥に別館が増築され、文明開化の雰囲気を伝える明治期の和洋折衷建築物で、昭和41年(1966年)明治村に移築されました。 2015年12月、移築され約50年経ったこの建物の修理工事が行われました。
全火協は煉瓦煙突部、基礎部諫早石の保存修繕工事を担いました。
明治村Facebook(外部リンク)


施工前 施工後

 

トヨタグループ館


トヨタグループ館は、1925年に建設された旧豊田紡織本社事務所を建設当時の状態に修復され、豊田佐吉氏・豊田喜一郎氏のゆかりの品や資料などが展示されている建物です。
経年によって外壁石材の汚れやクラック、欠損等の発生があったため、加圧超高温水洗浄、石工事、そして防撥水コーティングの修繕保存工事を行いました。



施工前 施工後

 

歴史的建造物・文化財等の基材保護コーティング

  

歴史的建造物や文化財の保存修繕においては、加圧超高温水洗浄でポーラスの奥深くまで洗浄をしてから、表面を保護し、劣化を抑える必要があります。
そのために基材への水の侵入を防ぎ、水捌けを良くするため撥水性、透湿性のある塗料を塗布します。
水の侵入はカビの発生、水垢汚れ、脆弱化の進行を早める等の恐れがあるからです。
コーティング剤は塗膜を構成せず針状結晶を形成する防水剤とチタン鎖体を用いた耐候性のある強化剤を使用します。 珪酸ナトリウムと珪酸カリウムを含有する防水剤は、はすの葉から着想を得た薬剤です。石が含む石灰、マグネシウム、アルミニウムなどの金属イオンと反応し、石内部で金属ガラスの針状結晶を構成します。
歴史ある建造物の意匠性を損なわず、降雨時には濡れ色になり、そして内部には水の浸入を防ぎ表面は撥水する
含浸型防水剤・透湿型撥水剤のダブルコーティング施工です。

  

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